The Boost Coffee
ルワンダ カリシンビWS
ルワンダ カリシンビWS
受取状況を読み込めませんでした
霧深き山から生まれる透明感
アフリカのコーヒーと聞いて、エチオピアやケニアを思い浮かべる方は多いかもしれません。しかし、いま静かに注目を集めている生産国のひとつがルワンダです。
その中でも、霧に包まれた高地に位置するウォッシングステーション「カリシンビ(Karisimbi)」は、近年スペシャルティグレードのコーヒーを輩出する存在として評価を高めています。
ルワンダとスペシャルティの関係
「千の丘の国」と呼ばれるルワンダは、東アフリカの内陸に位置する小さな国です。平均標高は1,500m以上と高く、ほとんどの農地が傾斜地にあります。
この地形が生み出す高標高・寒暖差・肥沃な火山性土壌は、コーヒー栽培にとって理想的な条件です。1994年の悲劇的な内戦以降、ルワンダはコーヒーを経済再建の柱とし、政府とNGOの支援のもとで品質重視のスペシャルティ生産体制が整えられてきました。
2000年代に入り、ウォッシングステーションの建設が全国的に進み、収穫から精製までの品質管理が一気に向上。こうして、ルワンダ産のスペシャルティコーヒーが世界市場で認められるようになったのです。
カリシンビWSの位置と環境
カリシンビWSは、ルワンダ西部のニャビフ(Nyabihu)郡に位置します。名前の由来となっているのは、ルワンダで最も標高の高い山「カリシンビ山(Mt. Karisimbi)」。この山の斜面や周辺地域に、小規模農家が点在しており、彼らが収穫したチェリーをカリシンビWSに持ち込んで精製が行われます。
標高はおよそ1,800〜2,200m。ここでは1年のうち長期間にわたって朝霧が立ち込め、日照と湿度のバランスが絶妙です。これにより、コーヒーチェリーはゆっくりと熟し、甘味や酸味が凝縮されていきます。また、この地域の土壌は火山性で、鉄分・カリウム・リン酸を豊富に含み、複雑なフレーバーを支えるテロワールとして機能しています。
精製プロセス:ルワンダ式ウォッシュド
カリシンビWSでは、伝統的なウォッシュド(湿式)プロセスが用いられています。これはルワンダにおける主流の精製方法で、以下の工程を丁寧に行います。
- チェリーのハンドピック(浮豆除去)
- パルパー(果肉除去機)で果肉を除去
- 発酵槽で12〜18時間発酵
- 水洗によるミューシレージ除去
- グレーディング(水槽内で比重選別)
- アフリカンベッドで10〜14日間の天日乾燥
このプロセスでは、とくに発酵と乾燥の管理が品質を左右します。カリシンビWSでは、発酵槽や乾燥棚の清掃を徹底し、温度・湿度管理を常にモニターすることで、雑味のないクリーンな風味が実現されています。また、精製後の選別工程でもハンドピックが行われ、欠点豆の除去に非常に力が入っています。
味わいの特徴──明るさと奥行きの共演
カリシンビWSの豆は、ルワンダらしい紅茶のような香味と、透明感ある酸味を併せ持っています。中煎り〜浅煎りに仕上げると、その特徴はより明瞭に現れます。
代表的なカッピングノート:
- アールグレイやブラックティーのような香り
- ラズベリーやレッドカラント系の果実味
- ジューシーで明るい酸
- 白い花やハーブのようなフローラルな印象
- 冷めると現れるブラウンシュガーのような甘さ
ルワンダ産コーヒーの中には、柑橘系に振れすぎるものもありますが、カリシンビWSの豆は酸味が穏やかで丸く、甘味とのバランスが良好です。そのため、飲み疲れしにくく、日常使いのスペシャルティとしても非常に優秀です
抽出とおすすめの楽しみ方
カリシンビWSの豆は、湯温約90℃、抽出時間3分を目安にハンドドリップすることで、華やかさとコクをバランスよく引き出すことができます。
ペーパードリップでは、蒸らし時間をしっかり取り、中心から静かに注ぐと、紅茶のような香りが際立ちます。中挽きやや細めに設定すると、フルーツ感が際立ちますし、粗めにすることでハーバルなニュアンスが広がります。また、冷めても味の輪郭がぼやけないため、時間をかけて飲んでも最後まで楽しめます。
最後に
ルワンダは、面積も輸出量も決して大きなコーヒー生産国ではありませんが、だからこそ1ロットごとの精度が非常に高く、「丁寧につくられた味」がわかる国でもあります。特にカリシンビWSのようなウォッシングステーション単位のトレーサビリティは、品質にこだわるスペシャルティロースターから高く評価されています。
同じアフリカでも、ケニアのようなパンチの効いた酸や、エチオピアのフローラルな印象とは異なり、ルワンダはその中間を埋める“バランス型”としての魅力を放っています。初めてルワンダを飲む方にも、アフリカ好きの方にも、ぜひ一度その透明感のある味わいを体験していただければと思います。
Share



霧深い山の朝のような、すごく澄んだ空気を感じるコーヒーでした。
紅茶、とくにアールグレイが好きな人は、きっと気に入ると思います!
口に含むと、ラズベリーみたいな甘酸っぱい果実味がふわっと広がって、とても爽やか。全体的にすごくクリーンで、酸味もツンと尖っていなくて、どこまでもまろやかです。少し冷めてくると、ブラウンシュガーのような優しい甘さが出てくるのも素敵でした。派手さはないけれど、すごく品があって繊細な味。「丁寧に、大切に作られたんだろうな」というのが伝わってきます。静かな午後に、気持ちを落ち着けてゆっくり味わいたい、そんな優雅な一杯です。