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コロンビア ナリーニョ スプレモ(100g)
コロンビア ナリーニョ スプレモ(100g)
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標高と寒暖差が生む、際立ったクリーンカップ
南米の雄、コロンビア。世界でも有数のコーヒー生産国であり、「アラビカ種」の安定供給国としてその名を広く知られています。そんなコロンビアの中でも、特に品質の高さで注目されている生産地のひとつが「ナリーニョ(Nariño)」です。そして、そのナリーニョで収穫される大粒のコーヒー豆「スプレモ(Supremo)」は、スペシャルティコーヒーの世界においても独自の評価を確立しています。
本記事では、スペシャルティコーヒーとしての「コロンビア ナリーニョ スプレモ」に焦点を当て、その産地特性、精製方法、味わいの傾向などを紐解いていきます。
「ナリーニョ」とはどのような地域か?
コロンビア南西部、エクアドルとの国境付近に位置するナリーニョ県は、アンデス山脈の険しい地形に囲まれた標高の高い農業地帯です。多くのコーヒー農園が標高1,800〜2,200mの斜面に広がっており、日中は日差しに恵まれながらも夜間は急激に冷え込むという、寒暖差の激しい気候が特徴です。
この寒暖差こそが、ナリーニョのコーヒーを特別なものにしています。昼間に活発化した光合成で糖度を高め、夜間の冷え込みによってその糖が消費されず豆に蓄えられるため、甘味と明るい酸味が共存するフレーバープロファイルが形成されるのです。
さらに、火山性の土壌やミネラル分の豊富な地層も、風味の複雑さやクリーンカップに大きく寄与しています。
「スプレモ」グレードの意味とは?
「スプレモ(Supremo)」とは、豆のサイズを基準にしたスクリーンサイズ17以上の大粒豆のことを指します。コロンビアでは、豆の等級をサイズで分類しており、「スプレモ」の下位にあたる「エクセルソ(Excelso)」と区別されます。
ただし、近年ではサイズだけで品質を語ることの限界も指摘されており、スペシャルティグレードにおいては、生産処理の丁寧さや欠点豆の少なさ、カッピングスコアの高さなどが重視されます。ナリーニョ地域のスプレモは、これらの基準を高いレベルで満たす豆が多く、スペシャルティロースターにも積極的に扱われています。
味わいの特徴──「明るさ」と「なめらかさ」の両立
ナリーニョ スプレモの最大の特徴は、柑橘系の明るい酸と丸みのある口当たりです。
代表的なカッピングノートとしては、以下のような風味が挙げられます。
- シトラス(グレープフルーツやマンダリンオレンジ)
- ハニーやブラウンシュガーのような甘味
- アプリコットやピーチのようなストーンフルーツ感
- 冷めると現れるチョコレートやキャラメルの余韻
特に浅煎り〜中煎りに仕上げた場合には、ナリーニョ特有の明るく澄んだ酸味が前面に出て、透明感のあるクリーンカップを楽しむことができます。中深煎りにすることで、滑らかなボディとコクが増し、より多層的な味わいへと変化します。
このような「振れ幅の広さ」もまた、ナリーニョ スプレモがスペシャルティ市場で高く評価される理由のひとつです。
精製方法とその影響
ナリーニョの多くの農家では、伝統的なウォッシュド(湿式)プロセスが採用されています。これは、収穫後に果肉を除去し、水洗で発酵と洗浄を行う工程であり、雑味が少なく、クリーンで透明感のある風味に仕上がるのが特徴です。
高地での発酵は時間がかかるぶん、風味成分がより丁寧に引き出されやすいとも言われます。農家の中には、発酵槽の清掃を毎日欠かさず行うなど、微生物管理にも気を遣いながら、高品質なロットを生み出しているところも少なくありません。
また、ナリーニョでは生産者の多くが小規模農家で構成されており、手作業による丁寧な収穫や選別が行われている点も、風味の安定感と品質の高さを裏付けています。
世界市場での評価とポジション
コロンビアのコーヒーは、日本市場においても「バランス型のスタンダード」として長年親しまれてきましたが、ナリーニョはその中でも明確な個性を持ち合わせているという意味で、スペシャルティ市場でのポジションが年々強化されています。
国際的なコーヒー品評会でも高評価を得るロットが増えており、カッピングスコアで85点を超えるナリーニョ産のロットも多く見られます。
その結果、日本の専門店やスペシャルティロースターでも、「エチオピアやケニアのようなフローラル系の酸味が好きだけど、もう少し柔らかい印象の豆を探している」という層に向けた提案として、ナリーニョが取り上げられることが増えてきました。
日常的に飲めるスペシャルティとしても、またギフト用としても、おすすめできる一杯です。
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